PROJECT

石貫横穴群をめぐる
歴史と暮らしをなぞるプロジェクト

家族の想いと創造性が刻まれた、装飾のある横穴式古墳の入口
約2000年、暮らしと祈りが重なり続けてきた石貫の風景
この土地を見つめ続けてきた人の言葉から、歴史をたどる
歩き、調べ、考え、記録する。COFUN TRACEは進行中のプロジェクト

熊本県玉名市石貫に残る装飾古墳を入り口に、この土地に積み重なってきた歴史や暮らしの痕跡を、現代の視点でたどり直すプロジェクトです。
古墳は、遠い過去の遺跡であると同時に、人が生き、祈り、日々を重ねてきた場所でもあります。
このプロジェクトでは、古墳を「守る対象」としてだけでなく、今を生きる私たちとつながり続ける“場”として捉え直すことを大切にしています。
プロジェクトの進行にあわせて少しずつ情報更新していきます。完成した答えを示すのではなく、いま考えていること、調べていること、迷っていることも含めて、プロジェクトが進んでいく過程そのものを共有していきたいと思います。

石貫古墳群とは

石貫には、性格の異なる二つの横穴墓群があります。
数多くの横穴が並ぶナギノ横穴群と、限られた基数で構成され、後の時代には信仰の場として使われてきた穴観音横穴です。

[国指定史跡]石貫ナギノ横穴群(玉名市公式サイト)
[国指定史跡]石貫穴観音横穴(玉名市公式サイト)

さらにその二つの古墳に挟まれた丘陵の上には、この地域の長の墓とされる古墳や、かつて神社が置かれていたと伝えられる場所があります。

この丘陵では、墓をつくること、祈ること、暮らすことが、およそ2000年にわたって重なり続けてきました。

なぜ、ここに古墳は作られたのか?
これらは一体どんな成り立ちがあったのか?

私たちが惹かれているのは、この場所が「ある時代の遺跡」ではなく、長い時間の中で使われ続け、意味を変えながら受け継がれてきた場所だという点です。



丘陵に向かって伸びる田んぼの畦道の先には凝灰岩製アーチ橋。この石貫車橋は、旧熊野座神社の参道入り口に架けられた。市内の現存する石造アーチ橋は3基のみで、その一つ。

丘陵上部は荒れ果てた竹林になっており、その神社跡地に御神灯を発見。この付近には、古墳時代にこの地で最初に作られたと言われている石棺が眠っている。

COFUN TRACEという名前に込めた意味

COFUN TRACE(コフン・トレース)という名前には、

「ともに(Co)」「楽しみながら(Fun)」「なぞる・たどる(Trace)」

という三つの意味を重ねています。

専門家だけでなく、地域の人、訪れる人、そして、たまたまこの場所に関心を持った人も含めて、一緒にこの土地の歴史や風景をたどっていく。

COFUN TRACEは、まだ何かを完成させる段階にはありません。まずは、この場所について 知ること、整理すること、語れる状態にすることから始めています。

熊本県立装飾古墳館の学芸員、坂口さんに、古墳がつくられた背景や、当時の人びとの暮らしについて話を伺いました。現地を歩きながら、丘陵の地形や風景を自分たちの足で確かめています。

現環境を保持したまま、樹木に覆われた遺跡状態の確認、記録をするため、ドローンラウンジ ジュピター有明さんZero Innovation 多田隈さんのご協力により、ドローンによる地形のレーザー測量、分析を実施しています。

現在、丘陵全体や古墳を俯瞰できる模型づくりにも取り組んでいます。この模型は、この地の話を語り継ぐための「対話の道具」としていきたいと考えています。

こうした調査や対話の過程は、継続してお伝えしていく予定です。現地の空気感や歩きながらの気づきなど、文章では伝えきれない部分も含めて発信していきたいと考えています



「この風景っていうのは、おそらく弥生時代の終わりぐらいから古墳時代まで、今も含めて、ほぼ変わってないと思います。
畑や田んぼをして、『うちのじいちゃんはあそこに入ってるんだよ』って話してたんだろうなと思います。」


——— 装飾古墳館学芸員 坂口さんのインタビューより

これから考えていきたいこと

石貫古墳群は、長年にわたり集落の人たちが点検や見回り、草刈りなどを行い、大切に守り継いできた場所です。

暮らしの営みと信仰で守られてきた景観『石貫安世寺地区』(玉名市公式サイト)

一方で高齢化が進み、担い手不足から放置竹林が荒れ、一部では見学が難しい状況も生まれています。

COFUN TRACEでいま描いているのは、あくまで可能性の段階です。
これまで通り守っていくことを大切にしながら、この場所の価値をあらためて見つめ直し、少しずつでも多くの人に知ってもらい、関われる余地を育てていけないかと考えています。

たとえば、丘陵や古墳群の全体像を感じられる展示、歩きながら歴史をたどる散策、子どもも大人も関われる学びの場、食や地域文化とゆるやかにつながる取り組みなど。
どれも、すぐに形にすることが目的ではありません。

関係する人たちと話し合いながら、この場所にとって無理のない関わり方を探していく。
学術的な知見と感覚的な理解の両方を大切にし、「触れない」という選択肢も含めて考えていきます。

このプロジェクトは、答えを出すためではなく、問い続けるための取り組みです。

プロジェクトへの関わり方について

COFUN TRACEは、完成したプログラムに参加する形のプロジェクトではありません。

石貫の古墳群や、この土地の時間の重なりに関心を持った方に向けて、現在、地域体験や関わりの入口として、お試し移住プラットフォームLocalry(ローカリー)にて情報を掲載しています。

Localryを通じて、短期的な滞在や、フィールドワーク、プロジェクトへの関わり方などを、相談しながら決めていくことができます。

「まずは話を聞いてみたい」「現地を歩いてみたい」
そんな段階からの関わりも歓迎しています。

更新情報

2025年10月:ドローンによる地形計測開始
2025年11月:丘陵フィールドワーク調査
2025年12月:学芸員インタビュー実施
2026年1月:プロジェクトページ公開
2026年2月:ドローン調査記録をリール動画で発信(予定)

※プロジェクトの進捗は、このページで随時更新していきます。